妊婦と出産とカルシウム

普段から不足しがちなカルシウム。
妊娠期には特に必要となりますが、普段よりさらに不足しがちになるのも事実です。
大切な時期だからこそ、カルシウムの摂取にも、普段以上の気遣いが必要となります。
妊娠期にカルシウムが必要な5つの理由
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受胎には、カルシウムがキューピット
生命誕生の最初にカルシウムがかかわります。 -
赤ちゃんの骨はママからのプレゼント
3.5kgの赤ちゃんの骨には、少なくとも50gのカルシウムをお母さんからもらうのです。 -
安産とカルシウム
安産のための骨盤の形成と維持にもカルシウムが活躍しています。 -
正しい陣痛のためのカルシウム
カルシウムは陣痛が強く規則正しく起こるために、信号として働きます。 -
母乳と産後の母体の回復に
授乳中の女性は、2倍ものカルシウムが必要になりますし、消耗した母体の回復にも必要量が増えます。
妊娠期に、これほど必要なカルシウムですが、 実は妊娠期以外でも、日本人のカルシウム摂取量は、不足しているのが現状です。
普段から不足しがちなカルシウムを上手に摂る工夫が、妊娠期にはとても大切なことになるのです。
意外に知られていないのが、栄養過剰の栄養失調
グルメ時代の今日、豊富な食物源によって炭水化物、脂質、たんぱく質は過剰になっていますが、それを代謝するために必要なビタミン、ミネラル、食物繊維などが不足しています。それが現代日本の食生活です。
なかでも、日本人の平均カルシウム摂取量は、この20年間に栄養摂取基準を満たしたことがありません。

その原因の1つは牛乳・乳製品の摂取が少ない事。カルシウムが豊富に含まれる牛乳・乳製品の摂取が、日本人は欧米諸国に比べるとまだ少ないのです。また、日本の土壌にカルシウムが少ないため、水や野菜にカルシウムが少ししか含まれない事も原因の1つです。
カルシウムは努力して摂らないと不足する栄養素です。
特に、妊娠期の女性や胎児にとって、カルシウムは非常に重要な栄養素です。
妊娠・出産期にある女性はプラス300mg、母乳で育児をしている場合はプラス500mgのカルシウム摂取が必要になります。
そこで、国は「健康日本21」でカルシウムの摂取増加を目標に「カルシウムに富む食品の摂取量の増加」を提示しています。牛乳・乳製品はもちろんのこと、牛乳・乳製品以外でカルシウムを多く含む豆類、緑黄色野菜を少しでも多く食べることで、カルシウム不足の解消を訴えています。
今までカルシウムだけは摂取基準量を一度も超えていません

日本人は1日600mgのカルシウム所要量がいまだに満たされていません。体に必要な多くの栄養素の中で、カルシウムだけが戦後一度もこの所要量を超えていないのです。しかも厚生労働省が行なった最近の調査では、20〜30代の若い女性のカルシウム不足が著しく目立っているという結果になっています。20〜30代というと、妊娠・授乳・育児など、次世代の子供を産み育てる年代です。その年代の女性がひどいカルシウム不足にあることは、本人に健康の問題が出てくるだけでなく、日本人全体の将来としても、とても心配なことです。
