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カルシウムの真実(第4回) / 楊 榮展 医学博士の連載記事。第4回目のテーマは「生活習慣病とカルシウムについて〜糖尿病と脳の病気〜」

糖尿病はさまざまな合併症を引き起こす恐ろしい病気

人間は、食べ物から取り入れた糖類などの栄養分をエネルギーに変えて生命活動を行っています。そして、この糖代謝に大きくかかわっているのが、インスリンというホルモンです。インスリンは、食後に血糖値が上がると、膵臓から分泌されて血液中のブドウ糖を細胞に取り込む指令を出します。そして、細胞内に入ったブドウ糖は分解され、エネルギーに変換されます。
しかし糖尿病患者では、このインスリンが正常に分泌されないため、ブドウ糖を細胞内に取り込めません。そのため、体中の細胞はエネルギー不足状態となり、同時に、血液中にはブドウ糖があふれて高血糖状態になります。高血糖状態になると、血液の粘性が高まるため、酸素や栄養が体の各部位に行き届かなくなるばかりか、血管にも障害が生じます。その結果、神経障害、網膜症、腎症といった三大合併症をはじめ、体中の臓器に障害がもたらされます。

カルシウム不足と糖尿病の関係

血糖値が上がると膵臓からインスリンが分泌されるという巧妙なシステムには、カルシウムが関与しています。カルシウムは血中の糖分量の増減を感知し、それを膵臓に伝達してインスリン分泌を調整する働きをしています。糖尿病の原因はインスリン不足ですが、その原因はさまざまです。中でも、カルシウムの伝達機能が低下することで起こる糖尿病をインスリン非依存型糖尿病といい、生活習慣病と呼ばれる糖尿病はこれに当たります。
カルシウムの伝達が正常になされるには、血液中と細胞内のカルシウム濃度が「10,000:1」に保たれていることが必須です。このバランスが崩れると、カルシウムは“血糖値上昇”という情報をうまく膵臓に伝えられなくなるため、インスリンの分泌に支障が出ることになります。

カルシウムバランスを崩す最大の原因はカルシウム不足

「10,000:1」というカルシウムバランスが崩れる理由、それはカルシウム不足に他なりません。カルシウム摂取が少ないなどの理由で、血中カルシウム量が低下すると、副甲状腺ホルモンがこれを察知し、骨のカルシウムを血中に引き出します。しかし、摂取不足状態が長くなると、骨から引き出すカルシウムは多くなって、膵臓などの細胞内に余計に入り込むことになります。その結果、血糖値上昇を伝えるためのカルシウム伝達機能に支障が生じ、これが長く続くと糖尿病の発症を招くことになるのです。

脳の病気(認知症)とカルシウム不足の関係

認知症は、脳の血管に起きた障害(動脈硬化や血栓による脳梗塞、外傷による脳出血など)が原因で脳細胞が壊死する脳血管性痴呆と、血管に異常がないのに痴呆が進行するアルツハイマー型痴呆に大別されます。アルツハイマー型で脳細胞が壊死する原因については、近年、カルシウム不足が関係していることがわかってきました。
カルシウムが膵臓の細胞に入り込むことが糖尿病の原因になっているのと同様に、カルシウム不足によって、カルシウムは脳細胞にも入り込み、脳の伝達経路を壊し、最終的には脳細胞を壊死させてしまうのです。脳細胞は一般の細胞のように分裂・再生をしないため、死んでしまった脳細胞は元に戻りません。そのため、脳組織が減少・萎縮し痴呆が進行することになるのです。

カルシウム不足によって引き起こされるカルシウムバランスの崩壊が、糖尿病や認知症と深い関係を持っていることは明白です。長年、カルシウム不足の状態が続くことで、このようなさまざまな生活習慣病が引き起こされます。生活習慣病予防のためにも、若いときから積極的にカルシウムを摂取する生活を心がけたいものです。
カルシウム濃度の理想的なバランス 血液:細胞=10,000:1
この大きな濃度差が、情報伝達にはどうしても必要な理由。 糖尿病・認知症・骨粗鬆症のそれぞれの場合



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