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カルシウムの真実(第3回) / 生活習慣病とカルシウム〜動脈硬化・高血圧〜

カルシウム不足が招く恐ろしい病

カルシウムの摂取が継続的に足りない状態が、骨粗鬆症の原因になることは、前号でお話した通りです。しかし、カルシウム不足が原因で起きる病は、骨粗鬆症だけではありません。動脈硬化や高血圧は、脳卒中や心臓病など命にかかわるさまざまな病気の根源とも言えますが、カルシウム不足は、この恐ろしい動脈硬化や高血圧を引き起こす原因の1つでもあるのです。

動脈硬化と高血圧の関係

まず、動脈硬化と高血圧が発症する過程について説明しましょう。血液中には、体中の細胞に必要な酸素や栄養の他、老廃物なども含まれ、血管の中を血管壁にぶつかりながら勢いよく流れているので、血管壁には傷ができます。血液中にコレステロールが多かったり、カルシウムの摂取不足で骨から溶け出た過剰なカルシウムがあると傷にひっかかって付着し、血管の内腔を狭くしてしまいます。これが動脈硬化の始まりです。
動脈硬化を起こして狭くなった血管では血流が悪くなるので、心臓は血液の流れをよくしようと拍動を強めます。その結果が高血圧です。高血圧になれば、血管壁に強い圧力がかかるので、さらに血管壁に傷がつきやすくなり、動脈硬化が進行します。このように、動脈硬化と高血圧は表裏一体の関係にあるのです。

骨からのカルシウム流出が血管を硬化

血管壁に傷がつくことが動脈硬化への第一歩とも言えるわけですが、血管が柔軟性に富む健康な状態であれば、傷はつきにくく回復も早いので心配はありません。しかし、問題なのは老化などによって柔軟性が失われ硬くなった血管です。そういった血管は、傷や亀裂ができやすくなるのです。そして血管が硬くなる原因は老化だけでなく、カルシウムが大きく関与しています。
カルシウム不足で血中カルシウム濃度が低下すると、骨から血液中にカルシウムが取り出されますが、この状態が続くと、血液中で過剰となったカルシウムが血管壁細胞の中にたまり、血管を硬くします。また、血中で過剰となったカルシウムはコレステロールと同様、血管壁に付着します。付着・蓄積したカルシウムは石灰化して血管を硬くし、動脈硬化を進める原因になります。

血管壁の筋肉収縮が高血圧の一因に

血圧が高くなるには、いくつかの理由があります。その1つが動脈硬化であることは言うまでもありませんが、血管の収縮や血液量の増加によっても、血圧は上昇します。血管壁は平滑筋という筋肉でできていますが、これが収縮・拡張することで、血液の流れが調整されています。そして、血管壁の収縮と拡張が順調にいかなくなると、血圧が上がります。また、食事でナトリウム(塩分)を摂り過ぎると、腎臓で処理しきれない過剰なナトリウムは水分と一緒に体にためこまれるため、血液量が増加し、血圧が上がることになります。これは血液量が増えるため、血管壁への圧力が強くなることが原因です。 それでは、カルシウムはどのように高血圧に関与しているのでしょうか。カルシウムには、血管の細胞に出入りすることによって収縮と拡張を促す働きがあり、カルシウム不足になると骨から余計に血中に取り出されたカルシウムが血管壁の平滑筋の細胞内に入って、長時間収縮させます。これが血管のけいれんにつながり、血圧は上昇します。 このように、塩分の摂り過ぎとカルシウム不足は、どちらも高血圧の原因となるのです。

カルシウム不足にならない生活を

動脈硬化や高血圧は、クモ膜下出血や脳梗塞といった脳血管障害をはじめ、心不全や心筋梗塞、腎不全などを起こす恐ろしいものです。降圧剤で血圧を下げることはできても、それは根本的な治療ではありません。食事、運動、嗜好など生活習慣全般を見直し、改善しなければいけません。食事については、コレステロールや塩分の過剰摂取を控えることはもちろんですが、日ごろから十分なカルシウム摂取を心がけることも必要不可欠です。
血液1dl あたり10mgのカルシウムが必要
血液には、一定のカルシウムが必要です。
体内のカルシウムは99%が骨に、残りの1%は血液や細胞にあります。体内には恒常性を保つような仕組みがあって、カルシウム摂取量が不足して血液中のカルシウムの濃度が下がると、副甲状腺に命令が出され、骨の中にあるカルシウムが溶かされて血液に送り込まれます。「骨」から「血液」にカルシウムが溶けて流れだすと、どんどん取り出されてしまい、血管壁にたまって動脈硬化や高血圧の一因になります。
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