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カルシウムの真実(第2回) / 楊榮展 医学博士の連載記事。第2回目のテーマは「骨粗鬆症とカルシウムについて」

骨粗鬆症ってどんな病気?

カルシウム摂取不足が原因で骨量が減り、骨がもろくなる病気を骨粗鬆症といいます。骨の中は鬆が入ったようにスカスカになっているので、ちょっとしたことで骨が折れやすくなります。しかも、そこまで骨が弱くなっても自覚症状がほとんどないので、骨折してはじめて骨粗鬆症に気づく人も少なくありません。お年寄りが骨を折ると、若い人のような早期回復は難しいため、そのまま寝たきりになってしまうことがよくあります。寝たきりの状態を招く間接要因になっている点も、骨粗鬆症という病気の恐ろしさと言えるでしょう。

骨粗鬆症とカルシウムの関係

冒頭で、骨粗鬆症の原因はカルシウム不足にあると言いました。では、カルシウムはどのように骨粗鬆症と関係しているのでしょうか。体内では血液中のカルシウム濃度を一定に保つため、骨代謝が行われていることについては前回お話しました。この骨代謝について、骨を「銀行」、カルシウムを「お金」に当てはめて考えてみましょう。カルシウムの収入が多ければ、骨にはどんどんカルシウム貯金が貯まりますが、逆に収入が減れば、骨からカルシウム貯金が引き出されます。しかし、収入が少なくて貯金を崩す状態が長く続けば貯金はなくなり、骨は破綻して骨粗鬆症になります。家計の収支と同じで、カルシウムの支出が収入を上回れば、骨代謝のバランスも崩れて骨粗鬆症になってしまうというわけです。

なぜカルシウム貯金は減っていくのか

もちろん、骨代謝のバランスが崩れなければ骨粗鬆症にはなりませんが、その最たる要因になるのが、食事から摂取するカルシウム量の不足です。摂取するカルシウムが少なければ、当然、血中カルシウム量も低下するので、ただちに骨のカルシウム貯金が引き出されることになります。
しかし、血中カルシウム量を左右するのは、食事から摂取するカルシウム量の問題だけではありません。環境によっては、血中カルシウムの消費される量が多くなり、たとえ十分な量のカルシウムを食事から摂っていても足りなくなることがあるからです。特に現代は、人間がこの“よからぬ環境”にさらされ続けている社会です。例えば、ダイオキシンに代表されるような環境ホルモンや、生活のなかでもたらされる多くのストレス、そしてリン酸を多く含むインスタント食品など。これらの影響で酸性に傾いた体は、弱アルカリの状態に戻ろうとし、その結果、血中カルシウムが消費され、カルシウム不足が引き起こされます。近年、丈夫な骨を持っているはずの若年層にまで骨粗鬆症が見られるようになった背景には、こういった“よからぬ環境”があるからなのです。

骨粗鬆症は女性の宿命!?

骨粗鬆症の特徴は、男性よりも女性に発症頻度が高く、また発症年齢も若いということです。男性では60代以降から見られ始め、70代で20%程度ですが、女性では50代前半の閉経を境に増加し、70代では60%を超える発症頻度になります。この性差は、女性ホルモンのエストロゲンに関係しています。骨からカルシウムが溶け出すのを抑える働きを持つエストロゲンが、閉経によって急速に減少すると、骨のカルシウムがどんどん失われ、骨がもろくなってしまうのです。
また、エストロゲンが減ると腸からのカルシウム吸収が低下し、ますますカルシウム不足が増長されることもわかってきました。さらに、女性は出産・育児という大仕事を担う存在です。妊娠中、授乳中には母体のカルシウムが赤ちゃんの成長に使われるため、大量に消費されてしまいます。このように、女性は体内にカルシウムを維持しにくい条件が多いため、骨粗鬆症になるリスクが男性よりも高くなってしまうのです。
女性である、高齢である、痩せ型である、運動不足である、カルシウム摂取が少ないなど、骨粗鬆症になる危険因子が多い人ほど、できるだけ若いうちから、骨へのカルシウム貯金をコツコツと殖やしておくことが最大の予防になります。
そのためには、カルシウムの多い食事、適度な運動、ストレスの少ない生活といったことへの心がけが必要です。老後のQuality of Lifeを高めるためにも、骨粗鬆症の発症率の高さを理解し、カルシウム摂取について真剣に考えて、日頃から予防に努めることが大事です。更年期を迎えたら、定期的に骨密度を測り、自分の骨の状態を把握しておくことをお勧めします。
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